夏はG1-CLIMAXの季節

プロレス話を・・・

テレビ朝日櫻井健介アナの日記より ・・・ http://www.tv-asahi.co.jp/announcer/personal/men/sakurai/body1.html

□■実況ストロングスタイル■□
第196回 櫻井健介アナ 〜「テンコジ」復活に想う〜  

 平成の裏切られ王とも言うべき天山広吉
 その裏切られっぷりにおいて右に出る者は見当らない。
 自ら立ち上げた極悪ヒール軍団G・B・Hを追放され、友情の名の下にタッグを結成した飯塚高史に裏切られ、
 共闘を謳ったレジェンドたちに三行半を突きつけられ、G・B・Hの悪行の前にまともな試合をさせてもらえず、
 リングに立てば袋叩きにされ、失笑され、流血の連続。

 思い返せば、
 怪我のため、去年秋から長期欠場を余儀なくされた上、
 身も心もボロボロで一時は引退も考えたという天山。
 かつての栄光は、過去の遺産として人々の記憶の端に取り残されそうになっていた。
 G1-CLIMAXで3度優勝し、新夏男と言われたことも、
 IWGPヘビー級王座に4度戴冠したことも、
 蝶天、テンコジ・・・名タッグ結成しIWGPタッグ王座に8度戴冠したことも・・・。

 どれだけ輝かしい実績を残しても、
 どれだけ強烈なインパクトを残しても、
 世間では、時間の経過とともに風化されてしまうもの。
 刹那の記憶とも言うべきか、記憶の片隅に残れば幸い。
 ただ、残っていても記憶の引き出しを開ける作業には
 それ相応のきっかけが必要となる。

 今年に入り、悲しいかな「天山はもう終わった・・・」と囁かれ始めていた。
 そんな中で、失意の底から意地でリング復帰したのが今年2・18両国国技館だった。
 復帰は、かえって悲劇の序曲、プロローグとなった。
 冒頭に述べた悲惨な出来事が次々に襲い掛かってきて抜け出すことも、逃れることもできない蟻地獄状態。
 負のスパイラルに陥ってしまった。

 中でも、寡黙な善人、正義の人として生きてきたはずの飯塚高史が友情を売り言葉に天山の心を弄び、
 裏切った事件は「プロレス史に残る裏切り劇」と言われた。

 孤立無援、四面楚歌、天涯孤独・・・闘いの同志はおろか、
 心の拠り所まで失っていた天山。だが、奇跡が起きた。

 7・8、プロレスの聖地・後楽園ホール
 友情が因縁へと変わった天山と飯塚のランバージャックデスマッチによる完全決着戦が行われていた。
 ノーコンテストなし、一方が3カウントを取られるか、ギブアップするか、ダウンするまで戦い続ける。
 しかもリングサイドには双方の肩を持つレスラーたちが取り囲み、リング下へのエスケープを許さないルール。

 相変わらずG・B・Hによる反則攻撃を喰らいながらも天山が飯塚に勝利した。完全決着のはずだった。

 しかし・・・。

 例によってG・B・Hの面々が腹いせに天山を襲った。
 試合中は天山サイドについて見守っていたレスラーらが助けに入る素振りもなく、一方的に袋叩きに遭う天山。

 そこへ・・・。

 突如、何の前触れもなく天山の盟友・小島聡が現れた。
 小島といえば元新日本プロレス所属、天山とは切っても切れない仲、同い歳、第3世代、良きライバルでもあり、
 唯一無二のパートナーでもあった。
 ただ、小島は2002年に新日本を退団し、
 全日本へと移籍してもう6年が経っていた。
 その間、新日本の大会に参戦することもあったが基本は全日本プロレス小島聡だった。

 だから驚いた。予想もしていなかったし、できなかった。
 天山と小島の繋がりはプロレスファンの記憶にしっかり残っているはずだったが、この時点で二人を線で結ぶと
 いう発想がし難い状況だったから。
 前述したように記憶の引き出しの中にあっても、それを引き出す作業には相応のきっかけが必要となる。
 そのきっかけがあまりに唐突だったから大いに驚いた。
 驚きは感動に変わった。何だか武者震いした。
 心地のよい感覚だった。
 ここに、テンコジ完全復活!
 8月に行われる真夏の祭典G1-CLIMAXに、小島聡の電撃参戦も決まった。

 裏切られ続けた天山に、真の友情で結ばれた小島聡が救いの手を差し伸べた。
 天山ファン、いやテンコジファン待望の瞬間だったはず。
 心のどこかで待ち焦がれていた光景だった。
 闘いのリングには、様々なレスラー人生とドラマがある。
 やっぱりプロレスは面白い!と改めて思えた。
 
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 ここで私事ですが報告があります。
 この度、アナウンス部からスポーツ局へ異動しました。
 マイクを置いて、今後はスポーツ中継や番組を創る側にポジションを変えます。
 プロレス実況は、2006年春から担当してきました。
 このコラムの執筆も同時期から始めて丸2年経ちますが今回が最後のコラムとなります。

 レスラーの皆様、関係者の皆様、ファンの皆様に本当に暖かく支えて頂きました。ありがとうございました!
 今後もストロングスタイルをライフスタイルの基盤に、新日本プロレスを応援していきます!


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 └  http://www.tv-asahi.co.jp/a-friends/contents/views/

櫻井健介プロフィール

 茨城県出身。2000年入社。
 担当番組は『ANNニュース&スポーツ』(土)、『ワールドプロレスリング』(土)のほか、サッカー、プロ野球等のスポーツ中継多数。
 自称アナウンス部随一のサッカー小僧。このたびスポーツ局への異動が決定。
 「アナウンサーズ」サイト ・・・ http://www.tv-asahi.co.jp/announcer/

この異動で急遽、G1-CLIMAXの実況が決まったアナウンサーもいる。
九州朝日放送(KBC)の高島宗一郎アナだ!

高島君の一日7月17日分より・・・http://www.kbc.co.jp/an-room/diary/takashima/diary.html

G1クライマックス

久々にG1の実況をすることに。

2006年の1,4東京ドームでのIWGPタッグ戦以来のプロレス実況復帰。
真夏の最強決定戦で完全燃焼覚悟デス。

ここ最近朝の顔として頑張っている高島宗一郎アナ。
外に出るとコンサート鑑賞も多く、BoAさん・浜崎あゆみさん・倖田來未さんなど行くそうだ。
ハロプロ関連の話題が無いのは、コンサートの主催局ではないのだ。